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エッセー

オージーの辛口?日本論Vol.35

2009年01月10日

破綻した英会話学校で被害を受けた外国人講師の4人に1人がオージー、とか、労働党のラッド首相は親日米派というより親中国派、など、最近報道されるオーストラリアと日本の関係は、どちらかというとネガティブなものが多いように感じます。

 

日本の国力の低下に伴い、日豪の関係も、これまでより疎遠なものになってしまうとしたら、それはとても悲しいこと。

でも、政治や経済の面は別として、オージーと日本人という人間同士の相互理解は、ますます深まっているように感じるのも事実です。

 

「日本人、日本が大好きやねん。だから今の日本の子供たちや日本人の働き方を見ていると将来がとっても心配や!」。

日本から帰国したばかりのキャシーの第一声がこれでした。

 

流暢な関西なまりの日本語でこう言われると、日本人と話しているような気分になります。

 

そんな彼女の日本滞在は実は二回目。最初は、大学生だった21才のとき。

二年間日本で生活しました。ただただ日本に住むことが楽しくて、日本と日本人が大好きになったのもこの時のこと。

 

以来、ケアンズの高校で日本語教師の職を得て、日本と深く係わってきました。

15年ぶりの今回の滞在は、日本の私立高校で一年間英語教師として働きました。

たった一人の外国人教師として、日本の学校、日本の社会に飛び込みました。

「この一年間はオ−ジーでなく、まさに日本人として生活したわ」と彼女。

日本人の友人と一緒に暮らし、自分の部屋はもちろん畳敷きの和室。

 

食べるものは毎日日本食で、週末も日本の教会に通ったり、日本人の友達と旅行したりと自分が時々外国人であることを忘れてしまうほどだったそうです。

 

「外人!」と子供に指さされて「誰のこと?」とキョロキョロしたら自分のことだった、なんていうこともあったくらいでした。

そんなキャシーの日本・日本人論は、実体験に基づいたものであるからこそ、鋭い指摘にタジタジとなります。

 

まず最初は、「日本の子供たちは家族で過ごす時間が少なすぎる」こと。

 

オーストラリアの高校では、休日明け、生徒たちが、週末家族で行ったキャンプのこととか川でカヌーや釣りを楽しんだことなどを、楽しそうに話してくれます。

 

しかし日本の生徒からは全くと言っていい程家族の話が出てきません。

生徒たちの、「父親となんてほとんど話したことがない」「どうせ家に帰っても両親は仕事から帰っていないので、一人で晩御飯を食べるだけだよ」といった発言に強くショックを受けました。

 

思わずオージー流に「早く家に帰りなさい!家に帰ったら、お父さんお母さんに『愛してる!』と言いなさい!」と叫んでしまったそうです。

 

「家族の話をしてくれる生徒ほど、明るくのびのびしている子が多いの。なんといっても家族が基本でしょう?

日本では、勉強や仕事が一番、なんて順序が逆だと思うわ」。

 

また、日本の子供たちは、ただでさえ塾や部活で家に帰る時間が遅いのに、学校にだらだらと残ってなかなか家に帰ろうとしないのにも、驚きました。

 

オーストラリアは部活もないし塾もそれほどありませんから、学校が終わるとさっと家に帰る子が多いのです。

 

自分でも家族と過ごそうとする努力をしない日本人。これは社会人になってからも同じ事が言えるのかもしれません。

 

 

次の指摘は日本人の忍耐力について。決してほめる意味ではありません。

「日本人は我慢のしすぎだと思うわ。

何でもガマン、ガマン。

我慢することは良いことだと教えられている。

耐えることができる人こそ、強い人だと思っている。

 

でもこれは私たちとは逆の考え方。

何か問題があったら、我慢するのではなく、それを変えることが大事と考えているから」。

 

日本の子供は問題を抱えていてもなかなか人に言わないし、なんとかそれを自分で我慢して、乗り越えようとします。

 

でもそれが積もり積もって結局最終的には爆発してしまう子が多い、と。

そのひとつの証拠として「日本の子はほんまによく泣くんよ」とぽつり。

 

 

オーストラリアでは生徒が泣いたらよほどのことだと思うそうですが、日本では「あ。また泣いている」という感じだそうです。

人前でも糸が切れたように大泣きする生徒が多いのにも驚きました。「だから私は日本人の先生とは反対のことを教えたわ。

何かあったら我慢しちゃだめ!文句があったらはっきり言いなさい!ってね。」

 

そしてもうひとつ、「日本人は時間を節約するという意識が足りない」ということ。

他の先進国と比べて労働時間が長いのも「しょうがない」と思ったそうです。

 

「日本人は仕事が忙しいから、やらなければならないことが多いから労働時間が長い、というだけじゃないと思う。

自分から効率よく仕事をしようとしているようには思えない」と。

 

毎日の労働時間が長いため疲れが残り、仕事の生産性も高いとは言えません。

彼女は日本で働きながら「無駄なことはやめてくれる?」「早く決めてよ!」と何度も心の中で叫んだといいます。

日本では何かを決めるときに、みんなの賛同が得られないとなかなか前に進めません。

 

また日本人特有の遠慮やはっきり意見を言わない態度が、何かにつけて仕事を遅らせている、と感じたそうです。

その典型例としてこんな話をしてくれました。ある日の学年会議でのできごとです。

 

高校3年生の生徒を2組に分け、セミナーに参加させることになりました。

その引率教師を決めるときのこと。

オーストラリアだったらおそらく15分で決まるところを、日本では1時間かかったそうです。

 

その理由は、ひとつのグループに素行不良の生徒たちが集まってしまったから。

 

明らかに教師たちは皆もうひとつのグループの引率をしたかったのですが、それを自分から言い出す人がいないのです。

かと言って不良グループを自分が引率しようという人もいません。

 

無駄な時間が過ぎていくことに痺れを切らしたキャシーは「私が不良グループの引率をします」と最初に言い出すしかありませんでした。

 

するとやっとほかの教師たちは安心したのか「自分はもうひとつのグループを引率したい」と、次々に自分の希望を言い始めました。

 

全てがこの調子です。

 

「日本人は自ら責任をとるのをとても嫌がる。かといって『自分はできない、したくない』とも言わないから本当に困る。

だから何を決めるのにも、すごく時間がかかるのね」。時間の節約というのは、自分や家族のために使える時間を確保するということ。 

そのことにもっと努力すべきだと思うし、そうすれば密度の濃い働き方ができるはず、と彼女は力説します。

 

 

最後に「日本人の良いところを教えてくれる?」と聞くと、「いっぱいあるけど、まず第一に、人に対する気配りが素晴らしいことね」という言葉がすぐに返ってきました。日本人の「人に迷惑をかけないようにする」という他者への気配りにはとても感動したそうです。

 

でも、自分が他人にどう思われているかを必要以上に気にしたり、自分がみんなの中で浮かないように気をつけるという態度は、自分の本当の姿を出せなくなってしまうことにもつながる、とキャシーは言います。

 

時にはそれがストレスを生んで日本人はかわいそうだと感じる、とも。

今流行の「空気を読む」という表現は日本人独特で、「オージーは空気を読むなんて絶対無理!みんな空気を読めない人ばっかりよ」と大笑いでした。

彼女の将来の夢は、ケアンズに家を建てて、たくさんの日本人留学生を受け入れること。

 

オージーと日本人とが一緒にできるようなイベントを企画したりして、両国の架け橋になりたいそうです。

 

 

キャシーのような日本が大好きなオージーがいる限り、オーストラリアと日本の関係は大丈夫だ、と思います。

彼女の辛口(?)日本批評は、親日家である彼女が今回どっぷり日本社会に身を置き、得ることのできたものです。

 

だからこそ貴重な意見として、私たちが耳を傾ける必要があるのではないでしょうか?

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