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趣味のお料理を通して、地元の人と交流し、オーストラリア家庭料理の深さに驚いた“のりさん”こと豊永典子さん。家庭の味とともにオーストラリア人のライフスタイルを紹介してもらいます。


その7 ほうれん草のキッシュ(Spinach Quiche)

▲エーカーハウス

▲にわとりを抱いたマシュー

 今私達が住んでいる家は3ベットルームで、ここケアンズではごく一般的な大きさです。それでも日本からお客様が訪れると驚かれてしまいます。広いリビング、高い天井、そして屋根付きの大きなガレージなど。
 もちろん住み始めた頃は、私達もこの大きさに感激していましたが、2年も経つと、子供達はやれプールが欲しい、リビングにクーラーがないなどと贅沢を言うようになりました(私も!。主人に毎日グチを言ってますが)。そう文句が出るのもしょうがないですよネ、オージー達はすごい家に住んでいるのですもの。

 Sahra(セーラ)の家は、いわゆるエーカーハウスです。それも2エーカー。
「メートル法のオーストラリアでエーカーを使うのは変じゃない?」と彼女に聞いたところ「70年代に度量衡法が変わる前のなごりよ、だってha(ヘクタール)ハウスなんて気分が出ないじゃない」と教えてくれました。
 もちろん皆がエーカーハウスに住んでいるわけではありませんが、エーカーハウスに住むのはオーストラリア人の夢のひとつのようです。若いときには、友達とシェアしてユニットや小さな一軒家に住む。家族が出来たら頑張って働いていつかはエーカーハウスを手に入れる。特にケアンズはシドニーやメルボルンに比べて地価が安く、エーカーハウスも手に入れやすいのです。

 日本でも最近「田舎暮らし」が流行っているようですが、ここケアンズの素晴らしさは、エーカーハウスが町から車ですぐのところにあること。
 セーラの家は、スミスフィールドのショッピングセンターから車で3分ほどです。ショッピングをして3分後には広大な敷地の我が家にいる。何という贅沢な環境でしょう。
 彼女の家の門を入って車で玄関に向かう途中で隣家の庭に放し飼いになっている羊を見つけました。エーカーハウスの住人にとって羊や馬を飼うのは普通のこと。草食ですから大きな庭に放し飼いにしておけば面倒な草刈りも必要なくなり一石二鳥です。

▲お料理好きなセーラ

▲ティリーのお手製ドレッシング

▲セーラの手作りのパンやジャムがきれいに並べられたテーブルセッティング

 セーラの家には羊や馬はいませんが、ニワトリがいます。雨をしのぐ出入り自由の鶏小屋だけで、特に何も世話はしていないと。勝手に庭を歩き回って餌を探すので、食事の世話も必要ありません。それでいて、毎日10個近くの卵を生んでくれます。この卵の美味しいこと! 鶏がたまに蛇に食べられてしまうことが放し飼いの欠点ですが、セーラの子供のティリーとマシューは6羽全員(!)に名前を付けてかわいがっていました。

 良いことばかりではありません。エーカーハウスに住むにはそれなりにエネルギーがいります。たとえば、草刈り。セーラの家ではご主人のトラバーが週1回2時間半かけて、草刈りをします。そうしないと雨期にはあっと言う間に背丈が1mにもなり、手がつけられなくなると。
 それにしても、この広い庭を裸足で駆け回る子供達を見ていると本当に羨ましくなります。ただ、その維持の大変さから、子供達が巣立つころになると、もう少し小さな家に移るオージーも多いようです。

 セーラは何にでも好奇心旺盛で、大の日本びいきです。
 先日家族で日本に旅行してきました。彼女の日本でのお気に入りは、「立ち食いそば」と「日本酒の試飲」。家族で「立ち食いそば屋」を訪れたときには、店の人が目を白黒させていたと。日本酒も高山の蔵元で試飲させてもらったようで「やはり本場ものは美味しい」とか。その他にもオージーからは余り好まれない刺身や羊羹も大好きです。家族そろってそんな調子なので、8年生の長男のマシューは趣味が「Bonsai(盆栽)!」。若いBonsainistとしてケアンズでは名が知られているそうです。

 和食だけではなく、中華、インド料理にも造詣が深いセーラは、ケアンズの裁判所判事という忙しい仕事の合間を縫って色々な料理をご馳走してくれました。お料理には必ず自宅のハーブガーデンから採ったサラダが添えられます。食後のデザートは庭に植えられたマンゴーやパパイアがメインに使われたアイスクリームなど。料理上手な上に野菜、果物、卵など素材が新鮮なので、その美味しさといったら言うに及ばずです。
 また私が日本に一時帰国した折りには、「お土産に」と手作りのマンゴジャムやチャツネ、ケーキなどを頂きました。
 長女のティリーもセーラに似てお料理好き。サラダのドレッシングはいつも彼女のお手製ですし、ディナーには必ずティリー作の一品が加わります。セーラは、偏見に捕らわれることなく正当な判決を下す真っ直ぐな裁判官として知られていますが、優しくて、料理好き、そして庶民派の彼女を見ていると、それも頷けます。


 さて、今回はセーラの数あるレパートリーの中からほうれん草のキシュをご紹介します。パイ生地を使わないので、短時間ででき、パーティーなどの一品に最適です。

材料{4人分)
ほうれん草…1束(ゆがいた後良く絞り、刻む)
・ベーコン…90g(1cm幅に切り、炒める)
Aの材料
 卵…3個(割りほぐす))
 生クリーム(thickened cream) …1カップ
 グリエールチーズ…90g( 粗く刻む)

■作り方

1.

ボールにAを入れ、塩、こしょうをふり、よく混ぜる

2.

1にほうれん草、ベーコンを入れ、軽く混ぜる

3.

オーブン皿(バターを塗ったもの)に2を入れ、200度で30分位焼く。焼き色が付いたら完成!ほうれん草の代わりにズッキーニでもOK



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