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趣味のお料理を通して、地元の人と交流し、オーストラリア家庭料理の深さに驚いた“のりさん”こと豊永典子さん。家庭の味とともにオーストラリア人のライフスタイルを紹介してもらいます。


その13 ファミリービジネス お料理:パイナップル・メレンゲ・タルト

 オージー達と知り合いになると、彼らのゆとりを持った時間の過ごし方に感心してしまいます。たとえ会社勤めであっても、一日中会社に縛られる日本人とは違って、夕方になると早々に家に帰って庭仕事をする。

 土日になると、家族でハイキングを楽しんだり友人とパーティに興じたり。朝早くから夜遅くまで働く、ましてや休日がない、なんてとても考えられない。
 シドニーやブリスベンなどの大都会では、日本と同じようにワーカホリックな人達もいるのでしょうが、われらがケアンズでは、そういった人に出会うことはないだろう、と思っていました。ところが…。


▲お店に立つエイミーとお母さん

▲配達用の新聞は手で巻く。なんと4秒で出来上がり!

▲雑誌の種類の多いのにはビックリ!

 我が家の家庭教師のAimee(エイミー)の実家は、Newsagency を経営しています。
 Newsagency は、大きなショッピングセンターにもありますが、郊外のショッピングエリアには必ず見つけることができる、コンビニのようなお店です。

 日本のコンビニと違うのは、食品の扱いが少なく主に雑誌や本をおいてあること、そして、名前の由来通り、新聞販売・配達が業務の柱であることです。
 そのため、ひとつひとつのお店のテリトリー(担当地域)がしっかり守られていて、テリトリー内にむやみに新しいお店を出すことは出来ません。その分、地元にしっかり根を下ろしたローカル中心のお店と言えるでしょう。


 テリトリーが守られているということは、他の店との競争もなく、ビジネスとしては楽なような気がしますが、ほとんどは家族経営(ファミリービジネス)でやっているので、家族にかかる負担はとても大きいものとなります。
 エイミーも、数年前にお父さんが亡くなってからは、お母さんを手伝って、妹と3人で力を合わせてお店を切り盛りしています。


 Newsagency の一日は、朝6時の開店から始まります。
 お母さんは毎朝4時半に起床。朝寝坊が出来るのは日曜日の朝だけ。この日はお母さんの代わりに長女のエイミーが早起きして、店を開けるからです。
 週7日間営業(無休)のため、常に誰かがお店に出なければならず、その気苦労は大変なものです。エイミーは物心ついた頃から、雑誌や新聞の整理、お店の掃除など、忙しい両親の手伝いをしていました。

 最初の店番は、7歳(!)の時。ある日の早朝、新聞の配達をしていたお父さんから、「車がパンクしてしまった。お母さんに残りの新聞を配ってほしい」との電話がかかってきました。
 困り果てたお母さんはエイミーをベットからたたき起こし、「お母さんがお父さんの仕事を手伝っている間、お店を開けて店番をするように」と頼みました。
"OK. Mom!"とエイミーは眠い目をこすりながら、すぐにレジに向かい、ひとりでちゃんとお店を守ったそうです。


▲お得意のメレンゲタルトの出来上がり

▲上にパッションフルーツをのせると、キレイ!

 朝から夜まで休む暇のない大変な仕事ですが、この仕事の1番の魅力は、「お客さんがその地域に住む人達なので、人間的なつながりが非常に深いことよ」とエイミーのお母さんが教えてくれました。
 毎朝同じ時間に新聞を買いにお店に立ち寄り、毎回同じジョークを言う話好きのおじいさんや、必ず自分の孫の自慢話をしないと気がすまないおばあさん。

「こういった人達は人との会話を必要としているんだ、と思うの。だから、時間の許す限りお相手をするようにしているわ。」


 そんなふうに、人との関わりを大事にしているエイミー一家ですから、お客さんにもこのお店のファンがたくさんいます。

 ある近所のおばさんは、朝から夜までお店に出ているお母さんを心配して、お手製のラザニアやミートパイ、ローストビーフなど温めればすぐ食べられる物を、夕方、家から持ってきてくれます。
 お母さんが恐縮すると、「気にしないで。私は家族も居ない一人暮らしだから、何かあなた達家族にしてあげたい、と勝手に思っているだけだから」との答えが返って来ました。
 彼女は、単なるお客さんから、今ではお母さんの大事な親友になったそうです。


 数年前、突然お父さんが病に倒れ亡くなったときは、常連のお客さん達から、「何か手伝うことはない?」とたくさんの申し出があり、お店が軌道に乗るまで、朝の新聞配達の仕事、子供達の学校への送迎、ちょっとした店番など、無償で手伝ってくれたそうです。
 大黒柱のお父さんが亡くなり、途方に暮れていたお母さんにとって、それらの助けは「涙が出るほどうれしくて、ありがたい」ものだったそうです。


 まるで、下町の人情味あふれれた「寅さん」の映画のようです。忙しい自分中心の現代社会にあって、人と人とが思い合い助け合う姿を知ると、その人達の心の余裕を感じます。
 もちろん、家族みんなで力を合わせて一生懸命頑張っている、そして、お店とお客さんの関係だけにとどまらず人間的なふれあいを大事にしてきた、エイミー一家だからこそ、こういう信頼関係が生まれたのだと思います。

 このお店のような郊外にある小さな Newsagency はほとんどが家族経営で成り立っているそうです。機会があったら覗いて見て下さい。こちらから心を開いて話しかければ、きっと親切に答えてくれることでしょう。


 今回はエイミーの大好物というパイナップルメレンゲタルトを紹介します。忙しい仕事の合間にも簡単にできるので、お勧めです。


マシュマロバニーの 材料
市販のタルト:…23cm
・卵…3こ
・アイシングシュガー…150g
・パイナップル缶…小
・コーンフラワー…大2

■作り方

1.

卵3個を白みと黄みに分ける

2.

パイナップル缶のジュースを捨て、なべに入れ、黄みを入れて混ぜる

3.

なべを弱火にし、コーンフラワー(大2)を80ccの水で溶き、2回に分けて入れて混ぜる

4.

白みを角が立つ少し手前まで泡立てる

5.

さとう1/2カップを4に少しずつ入れる

6.

3をタルトに広げ、スプーンで5をのせる

7. オーブンで上に軽く焼き色がつくまで、15分くらい焼く


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