その14 親日家 お料理:ビートルート・スープ
最近、日本では、ますます豪州・ニュージランドへの関心が高くなっています。特にSeptember 11を境に、観光目的以外での入国が難しくなったアメリカに代わり、若い人達の留学・海外就職熱はここオーストラリアが主要なターゲットになりつつあるようです。
外国に滞在することになったとき、最初にお世話になるのは、やはり語学学校でしょう。慣れない外国生活を始めると、生活、語学、将来のことなどの不安で胸がいっぱいになります。語学学校に行くと、同じ悩みを共有できる仲間がいて心が安まるし、日本人以外の他国の留学生と仲良くなる機会もあります。
|
 |
|
▲語学学校の生徒たちと
|
そんな語学学校で、唯一のプロパーなオージーは先生です。良くも悪くも語学学校で出会った先生によって、「オーストラリア人とは?」という疑問に対する答えのイメージができあがると言っても過言ではないでしょう。
もし語学学校の先生がバリバリの親日家なら、私達日本人にとって最高にラッキーなことです。心細くてしょうがない時に、暖かい眼差しで見守ってくれたら、今後の不安も和らぐし、オージーの優しさにもふれ、ひいてはオーストラリアが大好きになることでしょう。
「本当は今すぐにでも仕事を辞めて、また日本で暮らしたいわ」と口癖のように言うDorota(ドロータ)は、ランゲージセンターの英語教師。4年間日本に滞在した経験があります。
でも、学校のオーナーは彼女を手放してはくれません。生徒の多くを占める日本人に大人気のドロータが辞めてしまうと、学校の人気が落ちて経営に影響するからです。
ドロータは大の親日家です。「親日家」という言葉を聞くと、日本人の私としてはやはり嬉しい気持ちになります。
外国の有力な「親日家」「知日派」の政治家が亡くなった、と報道されると、政治とは縁の薄い私でも、その国との関係が悪化するのでは、と心配してしまいますが、外国に暮らしている私達にとって、その国の親日家は政治家以上に頼りがいのある人達だと思うのです。
「どうして日本と日本人が好きになったの?」と尋ねると、
「だって私 made in Japan に目がないんだもの」とはぐらかされてしまいました。
とは言っても、自動車や電気製品ではありません。私が日本に一時帰国するとき、彼女に頼まれる made in Japan 製品は、どれも変わったモノばかり。お風呂の洗剤マジックリン、台所のふきん、虫さされ用ムヒ、注すとさっぱりする目薬、和風ドレッシング、ホカロンなど。ドロータに言わせると皆スグレモノとか。
 |
|
|
▲茶道に挑戦
|
|
|
|
 |
|
|
▲ママさんコーラスの仲間
|
|
|
|
そんな親日家ドロータと日本との最初の出会いは、ヨーロッパ出身の彼女がケアンズに暮らし始めてからのこと。もともと語学に堪能な彼女は、ヨーロッパ言語以外の外国語に興味を持ち、ケアンズで出会った日本人達の礼儀正しさ、控えめな態度に惹かれて、日本語を習得しようという気持ちになりました。
地元の高校で英語教師をしながら、TAFEの日本語コースを受講したりもしましたが、やはり語学の修得にはその国で生活するのが一番。そこで、意を決して日本で英語教師をすることにしたのです。
来日後は、英会話学校の教師をしながら、積極的に日本人社会にとけ込むように努力しました。もちろん、この好奇心旺盛なドロータを周りの日本人がほっておくはずはありません。休みのたびにグループで旅行に出かけたり、ママさんコーラスに入ったり。カラオケの腕も上げて、「川の流れに身をまかせ」が持ち歌になり、「NHKのど自慢」にも応募しました。残念ながら本選には残れなかったそうですが。
日本人との付き合いが深まるにつれて、これまで以上に日本びいきになっていきました。「日本人の仕事やサービスはしっかりしていて、信頼できる」
「オージーは自分の生活が楽しければそれで満足という人が多いが、
日本人は学ぶことに貪欲で何歳になっても前向きだと思う」
良いことばかりではありません。
「子供は塾や部活で忙しく、男性は仕事中心で家族のことを顧みない」
「こちらでは1番大事とされる家族の絆が日本では薄い気がする」
また、
「日本の若者は西洋への憧れが強いばかりに
日本を誇りに思っている人がとても少ない。
せっかく素晴らしい国なのに」など。
このように長短両面を理解した上で、日本を好きになってくれる外国人こそ真の「親日家」なのだと思います。
|
 |
|
▲和服姿のドロータ
|
ドロータが日本に滞在したのは4年間。私の滞豪生活もそろそろ同じ期間になりますが、まだまだオーストラリアが好きになったり嫌いになったりの毎日です。ドロータが日本と日本人を広い心を持って理解し親日家になったように、私も少しずつ真の親豪家(?)になれたらいいな、と思っています。
最後に、現役の英語教師として日本人生徒へのアドバイスをお願いしましょう。
「日本人の学生は概して礼儀正しく、周囲に気を使ってくれるので、
教師としては安心して授業を進めることができる」
「反面、日本人同士で固まってしまい、
せっかくの英会話の機会を自分から減らしてしまっている」と。だからこそ、
「できるだけ自分から授業に参加すること。
うまくしゃべれなくても、恥ずかしがることはない。
いくら間違っていても、自分から発声することが肝心だ」
また、
「どんなに英語ができなくても”今、自分は頑張っているんだ”
という態度を周りの人に見せることもとても大事」ということです。
「能力があることがわかっているから、つい歯がゆくなってしまうのよ」とも話してくれました。
 |
|
|
▲ビートルート・スープの出来上がり
|
|
|
|
ドロータはよく「私の趣味はシャイな日本人学生をからかうことよ」と言います。でもよくよく聞いてみると、自分の殻に閉じこもっている学生を皆の前でからかうことによって、クラスの注意をひき授業に参加しやすい雰囲気にする。そして自分に自信を持たせ、前向きになるようにしているのだとか。
こうやって、硬かったつぼみが徐々に開花していくように、英語の能力が花開くのを見るのは、まさに彼女の喜びだそうです。
きっとこれからも、”オーストラリア大好き!”なドロータの生徒達が、どんどん増えていくことでしょう。
今回は、ドロータに教わった色鮮やかな「ビートルート(赤かぶ)・スープ」をご紹介します。
|
■ ビートルートスープの材料
・玉ねぎ(薄切り)…1個
・にんじん(サイコロ大)…1本
・セロリ(細ぎり)…1本
・リーキ(薄切り)…1/2本
・ビートルート(生)…500gまたは 缶詰1缶
・ローリエ…1枚
・スープストック…1個
|
■作り方
|
1.
|
ビートルートの皮をむき、30分ゆでる
|
|
2.
|
1と他の野菜を水1リットル(コンソメ1個 ローリエ1枚を入れる)でやわらかくなるまで煮る。好みでミキサーにかけスープ状にしてもよい
|
|
3.
|
塩、こしょうで味を整える
|
|
4.
|
盛り付ける際に、パセリを散らし、白いクリームを軽くかけるとおしゃれ
|
|
|