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趣味のお料理を通して、地元の人と交流し、オーストラリア家庭料理の深さに驚いた“のりさん”こと豊永典子さん。家庭の味とともにオーストラリア人のライフスタイルを紹介してもらいます。


その17 オージー流趣味の楽しみ方 お料理:ブレイズステーキ

 世界遺産が近郊に二ヶ所もあるケアンズは、今や世界的観光地のひとつといえるでしょう。しかし、ここを目指してくる観光客は別として、実際に住んで生活している私たちにとっては決して刺激の多い町ではありません。
 それは、オージーたちにとっても同じこと。ケアンズの自然や人の温かさに魅かれてシドニーやメルボルンから移り住んできた人々も、しばらくすると「退屈だ〜」と叫ぶようになります。

 でも、そんなことを言っているようでは、まだまだ生活を豊かに楽しんでいる在ケアンズ・クイーンズレンダーの仲間にはなれません。大きな遊園地やブランドショップがなくても、毎日刺激に満ちた生活を楽しんでいる達人たちが、ここには大勢いるのです。


▲今日の獲物

▲お気に入りの愛車と彼女

 ヨン様以上に甘いマスクをもち、かつ筋骨隆々のジェイ(Jay)は、日本のおばさま達のアイドルになる素質十分(というか私の好みなだけかも?)のハンサムな青年です。
 モーターバイク・エンジニアとして仕事をバリバリこなす彼は、毎日5時を過ぎるとクイーンズランド有数の太公望としての仕事(?)を始めます。
 その腕前は折り紙付き。毎年2日間にわたり開かれる全国規模のバラマンディ・コンテストでは昨年度見事優勝に輝き、800ドルの賞金を獲得しました。

 話題が釣りのことになると彼の話は止まらなくなります。
「釣り道具はシマノかダイワが一番」
「バラマンディは50cmが10ポイントで…」
 など、私には「???」な話ですが、フィッシングをしていると「自然と一体化し自分に考える時間を与えてくれるし、なんといってもストレスがなくなってリラックスできる」のだそうです。

 普段は川や海が彼の漁場ですが、最近お気に入りのポイントはバラマンディの養魚場だとか。釣りキチの友達と深夜養魚場に忍び込み、思う存分バラマンディーを釣り上げるのだそうです。たまにカードマンに見つかり追いかけられることもありますが、その場は車に逃げ込み彼らが立ち去るとまた懲りずに忍び込む。

「獲物はちゃんと放すのだから、泥棒じゃないよ」とのことですが「川と違って面白いくらい簡単に釣れちゃうから、やめられないよ」と茶目っ気たっぷりに話してくれました。

 ジェイの話は面白くて時間が経つのを忘れてしまいます。
 ある時海釣りをしようと思ってボートで沖に出たものの、エンジンが壊れて急に止ってしまった。その時はたまたまオールを積むのを忘れていて冷や汗タラタラ。やっとの思いで小島にたどり着き椰子の木の枝をオール換わりにして何とか無事帰ってきたとか。

「あの時そのまま流されていたら、今も南海の孤島で暮らしているかも」

 また、釣りの合間にマッドクラブ(日本人観光客に大人気の泥ガニ)を捕るために網を何ヶ所か仕掛けておいた時、しばらくして引き上げてみたらマッドクラブの代わりに缶ビールが1本(!)。誰かがちゃっかり獲物を持っていってしまい「何もないよりはましでしょ」とばかりにビールを入れておいたらしい、とか。
 悔しかったけど川の水で冷えたビールは美味しく「しっかり飲ましてもらったよ」というおおらかさ。

 その他にも、「釣竿に大きなtoad(ガマガエル)をつけて知らない人の屋根に放すとピョンピョンと屋根を跳ね回り、家の人が驚いて家から出てくるんだ、最高に面白いよ」と、まるで小学生のいたずら話を聞いているようですが、24歳の好青年になった今も、やんちゃな子供心を残している彼はとても魅力的です。


▲砂浜もサーキット

 彼のもうひとつの趣味はモータースポーツ。
 オージーの男の子に「1番欲しい誕生日プレゼントは何?」と聞くと、ほとんどがモーターバイクと答えます。off road (公道ではない道)であれば運転できるので、土地の広いオーストラリアでは、小さなドライバーたちが至るところでエンジンをふかせ、土ぼこりを上げて、かなりのスピードでバイクを運転している姿を見かけます。

 ジェイも9歳のときに子供用のモータバイクをプレゼントしてもらって以来、モータースポーツ(観戦ではなく実践するほう)に夢中になりました。
 収穫の済んだサトウキビ畑をホームサーキットとして練習に励み、つい先日念願のレース用ライセンスを取得しました。
 が、レースの出走?を夢見て練習をしていたとき、激しく転んでしまい今は松葉杖生活。悲しいかな、バイクには乗れないので、筋トレに励んでいる毎日です。

 毎晩必ず筋トレ、ジョギングのメニューを1時間半こなし、私の家に料理を作りに来たときも「ちょっと失礼!」といって、皆の前で腹筋を始めました。たくましい筋肉でバイクを操り、レースで入賞することが夢だそうです。
 四輪だって、もちろん大好き。バイクの前にはカーレースにも参加していて、最初に車を所有したときから7年間の間に11台も車を買い換えています。


▲男の料理

 ジェイの話を聞いていると、自分のやりたいことを何も躊躇することなく心から楽しんでいる、と感じます。それが趣味というものなのでしょう。
 大人になると、周囲の目、経済状況、見栄、身体の具合などが気になり、また時間にも縛られて、子供のときのように「やりたいことをやる」ということが出来なくなってきます。自分でクビを絞めているのかもしれません。でも、ここケアンズは、素直にやりたいことができる場所、だと思うのです。


「お料理も大好き」と言うジェイはパスタがお得意ですが、今回は昔ながらの家庭料理ブレイズステーキを作ってくれました。材料を並べオーブンで焼くだけのまさに男の料理です。



ブレイズステーキ(Braised Steak)

材料
・牛肉…600g(肩肉またはモモ肉。1cmの厚さで1口大に切る)
・たまねぎ…1コ(薄切りにしソテーする)
・ジャガイモ…2コ(5mm幅に切る)

ソースの材料
・にんにく…1片(みじん切り)
・トマト缶…3/4
・ウェスターソース…大さじ2
・トマトソース…大さじ2
・水1カップ…固形スープ1個入り

■作り方

1.

肉に塩、コショウし小麦粉をつけ、フライパンで軽く焼く

2.

オーブン皿に1の半分、その上に たまねぎ、ポテトをのせ並べる(これを2回繰り返す)

3.

ソースを上から流し、オーブンで180度約1時間半、肉が柔らかくなるまで焼く(ふたを必ずすること)



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