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趣味のお料理を通して、地元の人と交流し、オーストラリア家庭料理の深さに驚いた“のりさん”こと豊永典子さん。家庭の味とともにオーストラリア人のライフスタイルを紹介してもらいます。


その19 留学生から見たオーストラリア 
お料理:パイナップル・ケーキ


 ここケアンズには、英語を勉強するために、いろいろな国々から学生が集まってきます。そんな語学学校のひとつ、JCU語学学校には、ヨーロッパ、アジア、南アメリカなどから来た学生たちが机を並べ、大学入学のため、あるいは純粋に英語を習得するため、皆熱心に勉強しています。
 普段の生活ではなかなか出会うことのできない外国出身の学生たちと話していると、オーストラリアに対する感じ方の違いを知ることもできて、とても新鮮です。


 フランスから半年の予定で英語を学びに来たEmeline(エミリン) とElodie(エロディー)はパリの大学に通うおしゃれなパリジェンヌ。
「フランス人はフランス語が世界で1番美しい言葉と信じているから、英語は嫌い、と思っていたけれど?」とちょっと皮肉をこめて聞いてみると、
「今、ヨーロッパは通貨もEuro(ユーロ)に統一されひとつにまとまろうとしているでしょ。だから、フランスで仕事を探すときには、英語が強い武器になるの。
 でもフランス人はヨーロッパで英語が1番下手と言われている。つまり、英語のうまいドイツ人や他の国の出身者に職を奪われてしまうことが多いの。そのため、若いフランス人は英語を勉強しようと必死よ。」
 と意外な答えが返ってきました。
 語学留学を実現するため、週末はアルバイトに精を出し、2年間かけて貯金したお金で、やっと念願のオーストラリアに来ることができたそうです。

▲5ヶ国の仲間が集まっておしゃべり

▲日本の○×ゲームに挑戦

「親に費用を出してもらうことが多いアジアからの留学生に比べると、自分で苦労して稼いだお金で来ている学生は真剣さが違う」
 と語学学校の教師をしている友人から聞いたことがありますが、彼女たちの生活を見ていると、それもうなずけます。
 先日のイースターの休みに、「やった〜!、3連休だ!」と叫ぶ学生たちの中で、2人は渋い顔。自分たちが払ったお金なのに、ホリディで学校が休み、なんて損をした気分だというのです。
「連休の間、自主学習のために、せめてコンピュータ室だけでも開放してもらえないでしょうか?」と学校側と交渉した熱心さには頭が下がる思いです。

 彼女たちが滞在した11月から3月のケアンズは、夏真っ盛りで、うだるような暑さが続き、オージーたちにはあまり歓迎されない季節です。でも、彼女たちにとっては、さんさんと輝く太陽、肌をこがす夏の強い光は、最高のプレゼントでした。
 毎年過ごしてきたフランスのこの季節は、寒さが厳しく気温がマイナスになることも珍しくないのです。語学学校の放課後は毎日プールで泳ぎ、週末は川やビーチ、湖に出かけました。そして、帰国する直前の4月には、「あなたたちどこの国の人?」と冷やかされるほど真っ黒に変身してしまいました。

 パリ出身の彼女たちが、一番感心したのは、ケアンズに住む人々の、のんびりした、おおらかさでした。こちらでは、買い物をすると、"How are you?" "How is going ?"とお互いに挨拶をしますが、「パリの店員は無愛想でニコリともしない人が多い」とか。
 また、"Thank you"という言葉もケアンズではよく耳にしますが、パリでは「”ありがとう”という言葉はあまり使わない」とも。ですから、ここではオージーを見習って、出来るだけ"Thank you"と言うように心がけたそうです。
 半年暮らすうちに、今ではケアンズのゆったりとしたライフスタイルにすっかり慣れ、何より"No Worries !"の考え方が大好きになりました。

 とはいっても、不満な点もあるようで、「こちらの食事はフランスの料理に比べると、味もシンプルで量が多いだけ。うんざりしてしまう。フランス人はもっとクオリティを追及する」と。さすがに、フランス人ならではの食文化に対するプライドを感じさせます。
 また、「(ケアンズでは)服装がとてもカジュアルで、若い人がおしゃれに着飾って出かける場所がない。そのため緊張感に欠けるような気がする。たまには、思いっきりドレスアップして出かけたい!」とおしゃれなパリジェンヌにはフラストレーションがたまることもあったようです。


▲ホームスティを楽しむイザベラ

 ドイツ出身のIsabel(イザベラ)は、専門学校を卒業し銀行に勤めていますが、6週間の休暇を取り、英語のブラッシュアップのためにこちらにやって来ました。彼女はホームスティで優しいオージーに出会い、自由で細かいことを気にしないオージー気質にすっかりはまってしまったそうです。
 ホストマザーに、「朝は何時に起きたらいいですか?夕食は何時ですか?」と聞いたとき「あなたの好きな時でいいのよ。特に朝は冷蔵庫を勝手に開けて、好きなものを食べて」という答えに驚いてしまったとか。

 ドイツ人は「○時に○○をして、○時までに○○をやって・・・」ときちんと計画を立て、その計画に基づいた生活を送るのが好きです。
 そのため、休日でも「午前中はみんなで散歩に行って・・・それから○○をして・・・」と計画してしまう。たとえ自分の家で家族と一緒に暮らしていても、どこか自由がなく息苦しくなる時がある、といいます。
 こちらでのゆったりとした時間に追われない生活は、まさに「自分が望んでいたこと」だったそうです。今では「彼氏さえドイツにいなければ、こちらに移住したい!」というほどですから、そのほれ込み方は相当なものです。

 また、ここで生活し、オージーと触れ合ううちに、「ドイツ人はなんて横柄で、人に厳しく、自己中心的なのだろう」と思うようにもなったとか。
「語学学校に入って色々な人たちと知り合ったけど、はっきり言って、アジアの学生たちは自分から全然しゃべろうとしないし、初めはとてもイライラしたわ。でも途中から自分自身ものんびりしてきたのか、そんなにピリピリしなくてもいいじゃない、自分から話しかければいいのよ、と思えるようになったの」。
 心に余裕さえあれば人に対しても優しくなれる。ケアンズでの生活は、そのことを気付かせてくれました。


 韓国人学生のYunmi(ユンミ)は、バスの運転手の態度の違いに驚いているそうです。こちらでは乗客と顔見知りになると、運転手の方から、「毎日学校大変だね」「どこか行くの?」「ジョージは最近元気?」などと、気軽におしゃべりをしています。韓国の運転手からは「早くしてください!」以外の言葉は聞いたことがないとか。
 初めは信じられない気持ちだったそうですが、「こちらのほうが人間的で素敵だな」と思えるようになったといいます。韓国では忙しい日々の生活に追われ、ケアンズのように知らない人とも会話を楽しむ、という心の余裕がなくなっている、と思うようになりました。


▲みんなで一緒にクッキング

▲おいしいデザートの出来上がり

 留学生たちから見たオーストラリア(ケアンズ)は、「人を人として見てくれる」「心のゆとり・余裕がある」と感じることのできる場所のようです。そしてそれは、オーストラリアの広大な大地、恵まれた自然、温暖な気候、時間に追われずストレスの少ない社会が作り出しているのではないか、と彼女たちが分析してくれました。

 今回紹介した学生たち以外にも、台湾、ハンガリー、ベルギー、ブラジルそしてもちろん日本から、多くの留学生が英語を学びにケアンズにやってきます。若い時に外国に滞在し、違う国の人々と話し触れ合うという経験は、その後大きな財産となることでしょう。
 ここオーストラリアはそんな異文化体験をするには、最高の場所のひとつと言えるかも知れません。英語を通して、様々な国の人々と知り合い、また自分も知ってもらう。そうすることで紛争や誤解はなくなっていくものだ、と思います。


 今回はエミリンとエロディーとから習った「簡単パイナップル・ケーキ」をご紹介します。フランスでは天気の良い日曜日のお昼に、自宅の庭でお母さんの手作りケーキとカフェオレを頂きながら、家族でゆっくりおしゃべりを楽しむのが一般的な過ごし方だそうです。おしゃれなパリジェンヌになったつもりで、日曜の午後を過ごしてみませんか?



パイナップル・ケーキ(Pineapple Cake)

材料
・バター…100g
・砂糖…1カップ
・小麦粉…2こ
・卵…2こ
・イースト…小さじ1
・パイナップル缶…1こ

■作り方

1.

ボールに小麦粉、砂糖、卵、イーストをいれ、よく混ぜる

2.

1に溶かしバターを加え、軽く混ぜる

3.

バターをぬったケーキ型にパイナップルを適当な形に切り、並べる

4.

生地を流し込む

5.

150度のオーブンで40分焼く

6.

ケーキ型をひっくり返す(パイナップルが表面になる)



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