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趣味のお料理を通して、地元の人と交流し、オーストラリア家庭料理の深さに驚いた“のりさん”こと豊永典子さん。家庭の味とともにオーストラリア人のライフスタイルを紹介してもらいます。


その24 マイホーム
●お料理:ラミントン


日本でも景気の回復に伴って、都内の高層マンションの売れ行きが良いとか。特にIT関連企業や株長者の若い人たちによって、高価な不動産物件が購入されていると聞きます。

 ケアンズでもここ数年、ミニバブルとでも呼べるような不動産ブームが起きていて、サトウキビ畑がどんどん宅地に変わってきました。このブームを支えているのも、やはり若いオージーたち。

 とはいっても、仕事に追われ忙しい日本人と比較的時間に余裕のあるオージーとでは、“マイホーム”にかける情熱、思い入れがかなり違うような気がします。

 高校を卒業すると同時に実家を出て独立し、結婚して子供ができるまでノンストップで働いてきたという友人のミシェル(Michelle)は、自分の意見をはっきりと主張し、強い意志を持ったたくましい(?)オージー女性です。

▲プレイグループのメンバーと一緒に

▲夫婦でデザインし造園した前庭

 時にはふたつの仕事を掛け持ちし、自分の夢をかなえるためにひたすら頑張って働きました。ご主人のマイク(Mike)と結婚する時には、「△年後にはまず小さな家を持ち、○年後には子供を持とう。そして次にはさらに大きな家を建てよう」と将来の生活設計をしっかり話し合いました。

 そしてその通りに夢を実現させていったのです。昨年、30代前半でありながらオージーの夢のひとつであるエーカーハウスを手に入れました。

「私はラッキーだわ、主人が“good worker”だから。働くのがキライで、パブ通いばかりして酒びたりというオージー・ガイも多いからね」とノロケを聞かされましたが、自営業のマイクはこの十年間まとまった休みを取ったことがないというほど(オージー男性には珍しい?)働き者です。

 そんな頑張り屋のふたりが、しばらく熱中していたのが、「マイホーム」。仕事や育児・家事以外は、寝る間も惜しんで「マイホーム」に時間を費やしました。

 たとえば、家をぐるりと囲む計32本の生垣。生垣といっても想像以上に大きな木です。この木は家の建築中にすべてふたりで植えました。

 まず掘削具(posthole digger)を借りてきて、ふたりで支えながら1メートル近くの穴を掘ります。激しいバイブレーションで手がしびれてしまったこともありました。そして買ってきた木を植え土をかぶせ肥料をやる。

 この繰り返しを32回。マイクが仕事から帰るとすぐにふたりで建設中の現地に向かい、日が沈む6時半ごろまで汗だくになって働き、ドロだらけで疲れ果て家に戻るという生活。

 また家の周囲の土留めも自分たちで作りました。2メートルの大木を何本も使って作る土留めの作業は、熱帯の炎天下の中かなりきつかったようです。

「こんな仕事はもう2度としたくないわ」といいながら、腕のTシャツのあと、足のサンダルのあとがくっきり残る日焼けした肌を「恥ずかしい」と言いつつ見せてくれました。

 もともと宝石店勤務だった彼女は、愛娘ホーリー(Holly)が生まれてからも、いつもメイクをきちんとしてネイルアートを欠かさず、ファッションもビシッと決めているので、常々感心していたのです。

▲二人で植えた家を囲む庭木

 そんな彼女が自分の土地、家のためには泥まみれになって働くことをいとわないほどの、マイホームへの思い入れ。ふたりはガーデニングが好きなので外構工事を中心にやりましたが、壁の塗装やタイル張り、バルコニーの設置などを自分でやったという友人もいるそうです。

 もちろんお金の節約という意味もあるでしょうが、豪邸を建てることのできたミシェルですから、お金を使って専門家に頼むこともできたはずです。でも、そこが「マイホームを建てるオージーのプライドなの」と。

 時間がかかり大変な仕事とわかっていてもそれを成し遂げた時、"Looks fantastic! We have done together. Look how much we have achieved!(最高!ふたりで仕上げたのよ、こんなにすごいことをやり遂げたのよ)"と言いながらその出来栄えを満足して2人で見る。これが最高の喜びだそうです。

 もちろんプロではないから、多少の失敗もありますが、夫婦はひとつのチームなのだから一緒に額に汗して、自分たちで決めたことを力を合わせて頑張ってやる。これこそが、これから新しいマイホームで暮らすにあたって「何より大切なの」と熱く語ってくれました。



 今はもう家の内外とも完成し肉体労働をすることも少なくなったようですが、その代わりマイクは仕事から帰ってくると、広い庭で娘のホーリーと走り回ったり三輪車で追いかけたりと、たっぷりと時間をとって遊びます。

「オージーにとっては、家族で過ごす時間がとても大事なの」

 そんな発言を聞くと、折角マイホームが手に入っても、そのローンのためあるいはワーカホリックのため、毎日遅くまで働いて家族で過ごす時間のない日本の家庭のことが頭をよぎり、時間に余裕のあるオージーたちが本当にうらやましく思えます。



 ミシェルの家はエーカーハウスが立ち並ぶ地域に建っているので、庭からは遠くの山々が、そして隣の家で飼っている馬の姿が、見渡せます。その手前には家の周囲を囲む32本の生垣。その生垣の最初に植えた木の根元にはお父様の遺灰が埋めてあるそうです。

「木の成長とともに私たちの成長を見守っていて欲しいという思いでまいたのよ」とミシェルは誇らしげに話してくれました。


▲ラミントンのできあがり

今回はオーストラリアならではのお菓子「ラミントン」の作り方をご紹介します。市販のスポンジケーキを利用するので、誰にでも簡単にできるのですが、普通に市販されているので、今ではオーストラリアでも家庭で作る人は少ないようです。

 でも頑張り屋のミシェルは自ら主催するプレイグループ(同年代の子供を持つお母さんが集まる会)の集まりには欠かさず作って持って行くそうです。日本ではラミントンは売られていないようですので、是非作ってみて下さい。


ラミントン

材料
市販のスポンジケーキ…2個
バター…30g
沸騰した湯…1/2カップ
アイシングシュガー…3カップ
ココア…1/3カップ
バニラエッセンス…少々
ココナッツフレーク…2カップ

■作り方

1.

スポンジケーキを3〜4cm角に切り分ける

2.

沸騰したお湯にバターを入れ溶かす

3.

ココアとアイシングシュガーをふるいにかけ2を入れてよく混ぜる

4.

バニラエッセンスを加える

5.

4にケーキをフォークで転がしながらアイシングに浸す

6.

ココナッツフレークをまぶして固まったら完成


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●著者紹介…豊永典子。ケアンズ在住の主婦。趣味が高じて、
地元オージーと和食&オーストラリア料理のエクスチェンジレッスンを始める。
オージーの食生活、ライフスタイルともに発見の連続の日々。


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