先日、Flynn Reef(フリンリーフ)を水中探索していたところ、数年ぶりに懐かしいあいつに再会する事が出来た。個人的に大好きな貝で“ウミウサギガイ”という愛らしい名前を持つ。この貝と初めて出会ったのはダイビングを始めて間もない頃…。高知県の海で発見した時は、その奇妙な容姿とモノトーンの色調に度肝を抜かれた覚えがある。水中で新しい生物に出会う喜びは確かこの頃に芽生えたと記憶している。背中に背負った白くてまるい貝殻がウサギの背中に見えることからこの名前がついたようだ。英名ではEgg Cowrieと呼ばれるこの貝は、黒い外套膜(がいとうまく)で身体を覆い、刺激を与えると真っ白な貝の表面を見せてくれる。こいつを一個体見つけると、不思議ともう一個体を近くに見つけることができる。二度美味しい貝である…。そのほとんどがウミトサカやウミキノコなど、彼らの餌となるソフトコーラル近くで発見されることが多い。ウミウサギガイの仲間はタカラガイの仲間と区別されているが、世界中で150種以上もの仲間が確認されているようだ。このウミウサギガイもそうだが、ここ十年で激減している生物の増加に不安を覚える。逆に目立って急増し始めている生物もいるので生態系の変化が原因なのだろう。気温の変化や雨量、サイクロンの影響なども勿論大きいが、農薬や下水、開拓など、人害による直接的要因も気になるところだ。その影響はすぐに数字に出るものではないが、後々、必ずグレートバリアリーフの生態に影響を及ぼしてくるはずだ…。今回のように嬉しくも再会できた生き物もいれば長らくご無沙汰の生き物も多い。いつまでもこの美しいグレートバリアリーフを見続けられるように、われわれ人間がすべきこと、考えるべきことは数え切れない程あるようだ・・・。