変革を続ける、ケアンズ
ヒルトンホテルのパワー源

 

ガイ・ハッチンソンさん
ヒルトン・ケアンズ総支配人

 

ケアンズで輝く人ーガイ・

Profile

Guy Hutchinson がい・はっちんそん
1968年2月23日ベネズエラ生まれ。南アフリカで就学後、ロンドンでホテルマネージメントプログラムを終了。フォートホテルを経て、ヒルトンインターナショナル社へ。アムステルダムでビジネスデベロップメント、デュバイでのマネージャー職を経て、2002年から3年間ヒルトン東京ベイでオペレーションディレクターを勤める。売上1.3億USドルと、ヒルトングループの中でも屈指のホテルに育て上げた仕掛人の1人。2005年より、ヒルトンケアンズ総支配人として数々のプロジェクトを成功に導いている。

 

この8年間で3大陸4ヶ国で仕事に取り組んで来たハッチンソン氏。

 

軟らかな物腰と、様々な文化を柔軟に受け入れながら対応するスマートさ、そして「1日たった1つでも変化を起こす」という前向きなエネルギーが溶け合い、「真の国際人」と言う言葉を思わせる方だ。

「毎日必ず1つでも前に進むよう努力しています」

ヒルトンという国際企業のホテルマンとして、各国で遂げて来た彼の足跡は大きい。
例えば、2005年までの3年間就任したヒルトン東京ベイでは、東京ディズニーリゾートのオフィシャルホテルとして既に高かったブランド力に頼ることなく、ユニークな発想で新風を次々と吹き込んだ。「3年間ミッキーマウスづくしさ(笑)。ホテルに住んではいたけど、自分の部屋はミッキー禁止(笑)」

 

 

取り組んだプロジェクトはこんな具合だ。ホテル上部のスカイバーだったエリアに45部屋を増設。(このうちの1つである、子どもが喜ぶ仕掛けがいっぱいのファミリールームは、ベスト・ニュールーム・コンセプトという国際的な賞を獲得した)

 

 

また、当時はまだまだコンサバだったホテルのレストランシーンに、レボリューションを起こした「スクエア」を700万USドルかけて新設。ニューヨークのトップデザイナーに依頼したという店内は、アジア、地中海、バーとテーマが分かれ、各セクションが川やガラスの滝など水の流れで区切られた開放感あふれるインテリアとなっている。スタイリッシュな空間と、半オープンキッチンで、各国のシェフが目の前で料理をしてくれるビュッフェ、というユニークなコンセプトが大きな話題を呼んだ。

 

 

 

 

1日に2000人の人が訪れる人気レストランに育てるために、話し方や立ち振る舞いを学ぶよう、ウェイトレスを東京のトップクラスのモデルスクールで2週間の研修を受けさせるといった徹底ぶり。更に、マジシャンを呼んで子ども達の前でパフォーマンスをしてもらったり。

 

 

デュランデュランのサイモン氏に、スクエア用のコンピレーションアルバムをプロデュースしてもらったり。

 

 

レストラン=食事という従来の考えを快く打ち破ってきたその理由は、「ホテルのレストランシーンを変えたかったから」。

 

 

常に、新しい喜びをお客様に提供したいというホスピタリティ精神は、月に1度、各界の著名人とコラボレーションしたイベントを行うなど、留まることを知らない。
今までにないものを作り出す創造性の源は、「たくさん旅行をして見聞を広めてるからかもしれない」と分析する。

 

 

ただし、アイディアを出すのは楽しい部分。「ビジネスとして結果を出したかったら、ファイナンスに焦点を当てなければ」ときっぱり。
どの職場においても、何ができるのか、何が求められているのかを常日頃から考え、毎日何か1つでも変化させている。

 

 

「そこにあったものをこっちに動かす、大きな工事をする・・・内容の差はあれ、毎日必ず前に進むように努力しています」

 

 

 

「待ってるだけではいけない。常に新しさを打ち出すべき」

ヒルトンケアンズに着任したのは2005年。めまぐるしく物事が移ろう東京から、南国リゾートケアンズへ。
「非常に大きな可能性を秘めているデスティネーション」と言う印象を持ったそうだ。この町の核を成している人々は、予想以上に強く質の高いビジネスマインドを持っていることにも驚いたとか。

 

 

現在、低迷していると言われるケアンズの日本人観光業に関してもポジティブだ。
「我々のホテルのゲストの45%は依然として日本からのお客様。数が減ったとしても、本当に重要なマーケットだと認識していますね」
年に一度は自ら日本へ赴き、セールスコールを行っている。日本で初めての国際ホテルはヒルトンだったこともあり、ヒルトンはブランド力が非常に強く、強固なネットワークがあるのだそうだ。

 

 

ただし、ハッチンソン氏の考えは、自社のみに留まるものではない。
「ケアンズそのものをデスティネーションとして訴求することが大切だと考えています。
こういう時期だからこそ、力を合わせる必要がある。お客様の方がどんどん変化するんです。
だから、魅力的でフレッシュなプロダクトを打ち出さないと難しいでしょうね。
常に新しさを求めなければなりません。観光地によっては、年に16ものパンフレットを出していたりしますから。」

 

 

ハワイのリピート日本人観光客は約85%と言われる一方、ケアンズはたったの15%。具体的な数字や例を挙げながら、
「歩みを止めてはいけない。アグレッシブにマーケティングしていくことだと思います。待っているだけでは駄目」と繰り返す。
常に新しいことにチャレンジし続けているハッチンソン氏の口から出る言葉だけに重味がある。

 

「心をオープンにして人生の偶然を楽しみたい」

ハッチンソン氏の就任以来、ヒルトンケアンズは、まず目に見える形でずいぶんと変わった。
ロビー、バー、フロントデスクが全面的に改装され、更にエグゼクティブスイートや、スパスイートと言った部屋が追加され、今はメルボルンのトップデザイナーに依頼した新会議室のデザインを終えたばかりとか。

 

 

加えて、ウェディング用チャペルがあと2週間で完成、と言う忙しさだ。全面ガラス張り、バリの教会を参考にしたというこのチャペルは、水に囲まれた小オペラハウスのような佇まい。海に面したガーデンにあり、絶好のロケーションと言えるだろう。

 

 

 

ハードに手を加える一方で、オーストラリアトップデザイナー6人によるファッションショーの開催、ジュエリーフェアといったイベントも積極的に行い続けている。

 

 

「ホテルは色々な人が集う場所。だからローカルコミュニティへの貢献も考えて、今後も様々な催しを行って行きたい」と言う。日々の努力が実ってか、アジアに60あるヒルトンホテルのうち、ゲストの満足度アンケートでは、ヒルトンケアンズは5位に輝いている。

 

毎日ホテルを隈無くチェックし、改善を考え実行。

「忙しいのが好き。予定がないと、秘書に言ってダイアリーを埋めちゃうくらい。(笑)。色んな帽子をかぶれる(ホテル内のあらゆる職を指している)この仕事が大好きですね」

 

 

心からビジネスを楽しむハッチンソン氏に今後の目標を尋ねると、「人生はあまり1つのゴールにこだわらない方がいい。僕は今にとても満足しているけれど、心をオープンにして、人生が運んでくる偶然も楽しみたいんだ。」

 

 

数年に1度国を変え、広い文化体験を積んできた、彼らしいしなやかさがこの答えにも映されていた。

 

 

滞在中のINXSと仲良くなって一緒に釣りに行き、釣れた魚をレストランで料理してもらった話(ケアンズの誰もスターに気づかなかったとか)、日本の天皇がロンドンにご宿泊前、貸し切った12部屋の間取り図を2週間前に送った話(間取り図に収納プランが書き込まれ、信じられないくらいオーガナイズされていた!)、ブルネイ国王に、ミッキーバスを2台売ってくれ、と言われた話など裏話も楽しくて。本当にホテルはドラマのある場所なんだろうな。ビジネスマンとしても勉強になったインタビューでした。Keiko

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毎日必ず1つでも前に進む努力を

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