自分の一部。人生を変えてしまった
圧倒的な存在…
多くの命を育む
グレートバリアリーフを守りたい。

 

ジョン・ラムニーさん
環境保護活動家

 

ケアンズで輝く人〜ジョン・ラムニーさん

Profile

John Rumney じょん・らむにー
アメリカ出身。1974年、冒険を求めてオーストラリアに移住。グレートバリアリーフでの漁師生活を経て、海の保護活動を開始。海洋学の研究とツーリズムを融合したトリップを運営し、その収益を研究資金や環境保護活動に還元する。www.marineencounters.com.au/index.htm

 

  「人が少ない。壮大な大自然が残っている。ヘビがたくさんいる(笑)。それがオーストラリアに対する僕のイメージだった」と語るのは、ミスター・アドベンチャーGBRの異名をとるジョン・ラムニー氏。

 

 

ワニまで部屋で飼っていたという、根っから動物を愛する少年だった彼は、オーストラリアへの憧れが膨らみ、アメリカを飛び出す。

 

 

1974年から3年間キャンプをしながら各地を巡り、求めていた秘境にたどり着く。それがグレートバリアリーフだった。
当時は、船上に泊まりながらダイビングをする小さなボートと、グリーン島へ行くフェリーがあったのみ。そのフェリー代も$2.70の時代だった。

 

 

ジョンは自分で船を造り4年間を洋上で暮らす。漁師として生計をたてながら、空いている時間は妻のリンダさんと海中探検を重ねる日々。圧倒的な自然の姿に魅了された。

 

 

 

愛して止まない海に変化が見られるようになったのは、80年代の初めの頃だと言う。
その頃、政府の機関から調査依頼があり、ボートで海洋学者たちと寝食を共にした。彼等の海に対する情熱に心を動かされ、「自分も海の破壊を食い止めるため何かをしたい。でも、調査を続けるには費用と機会が欠けている」と気づく。…この体験が、今後の人生をかけるライフワークへとつながっていくのだった。

 

 

その後アメリカを訪れたジョンは、海洋学関連団体をいくつか訪ね、自分と一緒にグレートバリアリーフで様々な研究を行ってはどうかと打診する。  
このアイディアは賛同を得たが、資金の問題にぶつかった。そう簡単にものごとは進まない。だが、自分の考え方はWin Winだと信じて疑わなかった。

 

 

 

打開策を見いだせないまま迎えた90年代半ば。ある生魚捕獲調査トリップに同乗した時のことだ。ボートには一般の観光客も乗っていて、ダイビングを楽しんでいた。その1人が「海上で学者の話を聞きながら様々な魚について学べる、こんな素晴らしい体験をしたことがない!」と感動し、調査元の水族館に20万USドルを寄付したのだ。

 

 

「自然とつながる体験をした人は、環境に興味を持って自発的に行動を起こすのでは?」とひらめく。そして、ダイブチャーターボートやVIP用の豪華船で、「海洋学の研究とツーリズムを融合」するというコンセプトを取り入れ、手応えを得ていった。

 

▲毎年グレートバリアリーフを訪れるミンククジラ。間近で見た多くの人に感動を与え、泣き出す人もいるほどだと言う。海洋学者によるクジラの様々な話を聞きながら、じっくりと出逢いを味わうツアーも催行。

 

 

時期を同じくして、アンディ・ダンスタンという海洋学者との出会いがあり、同じ目的に向かって意見交換をするように。
ポートダグラスを拠点とするローアイルス・プリザベーション・ソサイエティという環境保護団体を仲間とともに立ち上げたのもこの頃だ。(クリントン前米大統領に、リーフと環境のスピーチを捧げたのも、会長だった彼のアイディア)

 

 
▲ドキュメンタリー番組も各国で放映されており、今まで多くのクルーにグレートバリアリーフの素晴らしさを紹介してきた。

 

 

 

2人は次第に、ツアーで得た収益を環境保護に回すには、常に出航できる研究設備を備えた船が必要だと感じ始める。彼等には「お金を生むこと」よりも「違いを生むこと」が大切だという共通認識があった。
ジョンは、安定した豪華船のスキッパーの職を捨て、アンダーシーという船を買い取り、全てを賭けることを決意。後にアンディも、それまでの職を離れてこの船に全てを捧げた。

 



▲間近に海の生物を観察し、彼等の生態について海洋学者の説明が聞ける、今までになかったトリップが大反響。

 

 

その後、運営上の様々な変化が襲ったが、「多くの学者たちがデータを持ち寄り、お互いに情報交換しながらエコシステムの理解に努める」という大きな目標はまったくぶれていない。

トリップでの成果をもとに、漁業、政府の機関、WWF、政治家と様々な団体に問題を提起し、時には歩みを揃えながら、サステイナブルな環境づくりを目指して精力的に活動を続けている。
実際、ジョンの働きかけで、グリートバリアリーフでの漁業認定ゾーンが設けられたり、少しづつ行政も動き出した。

 

▲生態に謎の多いサメ。傷づけないように尻尾を捕まえ、体内にチップを入れて定期的に回遊場所などを計測する。こうした研究費を捻出するために行う「サメと泳ぐダイブ」トリップは大きな反響を呼んでいる。

 

収益は環境保護や研究に回すため「いつでも貧乏だよ」と笑うジョン。
「グレートバリアリーフに遊びに来ただけの自分が大きなテーマに気づかされ、そこからクリエーションが始まった。リーフの保護に関してほんの少しは変化をもたらせたと思う。10年以上かかってるけどね。自分のことはEco Warrior(環境のために闘う戦士)だと思ってる」

 

 

そう語る彼の瞳は、冒険好きな少年そのままの輝きを放つ。
仕事と思ったら続かない。彼を突き動かしたのは、海、そして生き物への強い畏敬の念に他ならないだろう。

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