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悲劇のパンドラ号 〜その2〜

2007年09月10日

 前号で、タヒチからパンの木の実を積み出す命を受けて、イギリスから戦艦バウンディ号が派遣されたことに触れました。楽園のようなタヒチでの暮らしを後に、再び航海に出た24日後の1789年4月28日早朝 キャプテン・ブライによる規律の厳しさに反発した副官、フレッチャー・クリスチャン以下8人の乗組員がバウンディ号を乗っ取ります。
  ブライと彼に忠実な乗組員19名は、食料と100リットルの水と六分儀とともに、たった8mの長さのボートに乗せられて、海に放たれました。
 ブライはその後、インドネシアのティモール諸島へ6,500kmもの航海を42日間かけて行うという、この時代では考えられないような偉業をなしとげます。 犠牲者は、途中の島で原住民に殺された1人のみ。
着陸したブライは、イギリスの海軍省に訴え、反乱者を逮捕するための24隻のカヌーが南太平洋に送られました。パンドラ号がその船です。
ブライはその後イギリスで、船を失った罪で軍法会議にかけられましたが無罪となりました。
  一方、反乱者たちは バウンティー号を乗っ取った後、逮捕されないために、海図に載っていない未知の島を探す必要がありました。
彼らはタヒチ島から南450kmにあるツブアイ島に到着し、フレッチャーはここに住むことに決めて、一旦タヒチ島に戻って家畜を積み込んで植民地を造りました。
ところが島民たちの反乱に遭い、投票によって、全員タヒチ島に帰ることに。
こうして1789年9月、バウンティー号はタヒチ島に到着し、全員が6ヶ月を過した女性と家族の許に戻ったのです。
しかし翌日の夜、9人の乗組員がバウンティー号に食料と19人の女性と9人の男性と1人の赤ちゃんを乗せ、未知の安全な島を求めて秘密裏に出航。
タヒチ島に残された14人の水夫は反乱の2年後にイギリスから彼らを探すために到着したパンドラ号に簡単に捕まってしまいました。
  囚人を載せた船は1971年の5月8日にタヒチを出、14人の囚人は船に作られた檻(パンドラの箱)に入れられました。バウンティ号と反乱者の捜索は3ヶ月間続けられましたが、探し当てることができず、船は英国に向けて航海を続けます。そして、1792年、キャプテンクックのエンデバー号が遭難しかけたグレートバリアリーフで、嵐のために遭難するという悲劇が起きたのです。
遭難した時、牢番が最後の瞬間に鍵を開けて囚人を救助しましたが、鎖を解くことが出来なかった4名が死亡しました。
生き残った者はブライ同様、ボートでインドネシアのティモールに到着し、裁判のため英国に送られて、4名が無罪、3名が釈放、3名が絞首刑となりました。
さて、バウンティ号に乗ったフレッチャー・クリスチャンと同行者たちはその後どうしたのでしょうか?
…タヒチから南東に2,500kmも離れたピットケーン島に住んでいた、バウンティー号の反乱者の最後の生き残り、ジョン・アダムスによると…一行は無人島を探して4ヶ月間もさまよった後、ピトケーン島に到着。1790年の1月23日にバウンティー号を燃やしてしまったそうです。
反乱者たちにはそれぞれ女性がおり、3人の女性は6人のポリネシア男性にあてがわれて奴隷となりました。最初の3年は集団生活は順調にいっていたのですが、ある女性が亡くなった時、その代わりをポリネシア男性と一緒にいた3人の中から選ぶことになったことがきっかけでポリネシア男性が虐殺を始め、フレッチャー・クリスチャンを含む5人が殺されてしまいました。
  しばらくして、ポリネシア人は再び女性のことで殺し合いを始めます。残った4人の反乱者と10人の女性、子供たちは平和に暮らしていましたが、5年後に1人は崖から飛び降りて自殺、1人は頭がおかしくなり、喧嘩の正当防衛で殺され、1人は喘息で亡くなりました。
最後の1人の生き残りとなったアダムスは、バウンティー号から持ち出した聖書で14人の子供たちに宗教を教え始め、島で暮らして39年後の、62才で亡くなりました。
イギリスから送られた船員のほとんどが監獄出身者であった当時の船旅の緊迫、人間のモラル、と興味のつきないこの事件… パンドラの箱での囚人の悲愴な船の旅の様子がタウンズビルの博物館で復元されていますので機会があったらご覧になってはいかがでしょうか。

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