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エッセー

海の墓場 Vol.46

2008年01月10日

最近日本からハイビジョンの撮影が入ったり、テレビ局などからの問い合わせが多いヨンガラレック。

2008年はちょっとしたブームになるかもしれない。
 

 
以前から世界10大レックダイビングスポットとしてリストアップされているヨンガラも、オーストラリア最大の海難事故で沈んだ船である。

乗員乗客122名全員が死亡し、結局1体も遺体が上がっていない。

 

そもそも、沈んでから発見されてヨンガラ号と確認できるまで50年近くかかった。

そんなヨンガラレックは今、世界中からダイバーが潜りに来るオーストラリアが誇るダイブスポットになっている。
 
 

 ヨンガラ号が沈んだ経緯にはいろいろな不運が重なっていることも興味を引く部分である。

 

船舶無線をこの最後の航海となったあとに搭載する予定だったこと(もしすでに無線があれば、サイクロン情報を伝えることが出来たはずだった)や、ブリスベンで乗り遅れた競走馬がなければサイクロンの直撃は免れた可能性が高かったこと(これにより出港が遅れていたのである)、キャプテン引退前最後の航海だったなどなど、ヨンガラ号にまつわる話を知れば知るほどますますこのレックに興味がわいてくるのである。
 

 
レックダイビングというのは、ダイビングや人工漁礁などの目的に沈めた船以外は嵐などで遭難した場合が多い。

と言うことは大荒れの天候時にシェルターとなるような場所がない海域である場合が多いのである。

このヨンガラも風がある程度おさまらないと潜ることができないところにある。

 

ポイントの回りはひたすら水深30m弱の砂の水底が続く。何もない平たんな水底である。

そんなところに突如として全長100m以上の船が沈んだわけなので、周りの水中生物の格好の住処となった。

 

 

今ではこの船だけで完全なエコシステムが出来上がっていると言っても過言ではない。

魚影の濃さ、各個体の大きさなどはオーストラリアの他のダイブスポットと比べても対抗できるところは非常に少ない。

 

また、先述したとおりエコシステムが出来上がっているので、季節ごと、月ごとにその様子が変化する。弱肉強食関係が目に見えて体験することができるポイントでもある。
 
そこで、ダイビング小僧としては毎月のように潜りに行きたいポイントなのだが、天気図とのにらめっこでチャンスがあれば仕事でもプライベートでも潜りに行くようにしている。

 

つい先月もお客様を連れて行ったのだが、ツアー当日の朝に予報よりも風がおさまらずボートが出港せず涙を呑んだ。

 

タウンズビルまで行ってボートが出なかったことは今までなかったので、しばらく落ち込んだがそのときのメンバーとは12月中にリベンジ予定(これが出ているころにはリベンジが終了しているはずだが)である。

 

片道400キロ弱の行程も慣れてしまうと近いもの。プライベートでは日帰りダイビングも可能。意外に気軽に行くことが出来るスポットでもある。あとは天気が味方につくかどうかでヨンガラへのダイビングは決まる。

 
場所は変わるが、ウルル(エアーズロック)に行くと「聖地のため登らないで」と言うメッセージを見るだろう。

 

 

アボリジニにとっては神聖な場所なのである。それでも登る人は、そういった背景を理解し、尊重する必要がある。

ヨンガラレックもそれと近いものがある。

 

アボリジニの聖地ではないが、122名が亡くなった場所である。

オーストラリアにはその親族に当たる人たちが当然のことながら多く住んでおり、ヨンガラはそういった親族にとっては慰霊地にもなっている。

 

 

そこにダイビングするということは、単に水中生物を楽しみレックを楽しむだけではなく、昔沈んだヨンガラの悲劇を考えながら船と共に沈んだ人たちの冥福を祈ることも大事である。
 

 
それにしても毎回驚かされるヨンガラダイビングだが、何が出てくるのか予測が出来ない楽しさはたまらない。

いつかは、水中でヨンガラレックの横に並ぶザトウクジラとのダイビングを夢見ているのだが冬場の話なので来年までの楽しみにしている。

 

 

1年に1度は必ずといっていいほどヨンガラレックの水中ザトウクジラ遭遇という話を聞くので、いつかは自分もと・・・。

2007年は見事に撮影されたクジラとの写真を見たのだが、いつか自分も同様の写真が取れればと思っている。

 

これを書いている次の週もヨンガラツアーである。

これからも出来るだけ機会を見つけて潜り続けてヨンガラの全てを知るダイバーになれればなと。

 

それにしてもサカナの数多すぎ!群れの動きでめまいを感じるほどである。
 
 

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